11. 周囲との関わりとウィッグ

─ 家族・友人・職場など、周囲への打ち明け方や反応の受け止め方 ─

ウィッグを使い始めると、自分自身の気持ちだけでなく、「周りにどう思われるか」「どう伝えたらいいのか」という人間関係の悩みも生まれてくるかもしれません。とくに、家族や友人、職場の人たちなど、日常的に関わる人への打ち明け方には、戸惑いや不安を感じる方も多いと思います。

◆ 家族や親しい友人には、正直に打ち明けることで心が軽くなることも

家族や長く付き合っている友人には、ウィッグを使うことをあえて隠さず伝えることで、気持ちが軽くなったという声をよく聞きます。もちろん、伝えるタイミングや方法は人それぞれですが、「実は最近ウィッグを使っていてね」と、何気ない会話の中で自然に切り出すのも一つの方法です。

多くの場合、「気づかなかったよ!自然で全然分からなかった」「そうだったんだ、大変だったね」といった温かい反応が返ってくることが多いものです。むしろ、自分が思っている以上に、周囲はウィッグという選択を受け入れてくれるものです。

🔳職場での対応は、自分の「安心感」を最優先に

職場の場合は、打ち明ける・打ち明けないの判断が少し難しいですよね。必ずしも全員に伝える必要はありませんし、信頼できる上司や同僚にだけ話すという選択もありです。

実際に、「最初は誰にも言わずに使っていたけれど、ある時仲の良い同僚にだけ話したらすごく安心できた」という体験談も多くあります。反対に、無理に話そうとしてストレスになったという声もあるため、自分の気持ちが前向きでいられるかどうかを判断の軸にしてみてください。

また、もし医療用ウィッグを使っている場合は、通院や治療などの事情を理解してもらうために、必要に応じて会社に相談しておくと、急な欠勤なども柔軟に対応してもらえることがあります。

🔳 受け止め方は十人十色。でも「自分を守る」選択でいい

ウィッグについて打ち明けたときの反応は人それぞれですが、自分がそれを「どう受け止めるか」が一番大切です。たとえ少し無神経な言葉をかけられたとしても、それは相手が無知だったり、悪気がなかったりする場合がほとんど。

そんなときは、「これは私の選択で、私の生活を快適にするためのもの」と、自信を持ってウィッグライフを楽しんでください。

次は、そのお話をご紹介します。

また少し違った状況の中で、ウィッグと向き合い、周囲と関わってきた方のお話です。

ーーー打ち明けることが、こんなに心を軽くするなんて思わなかった ーーー

ある女性から、印象に残るお話を聞きました。抗がん剤治療の影響で髪が抜けてしまい、ウィッグを使い始めたという方です。

彼女が言っていたのは、「最初にウィッグをつけた日は、久しぶりに外の世界とつながった気がした」と。でもそれと同時に、新たな悩みも生まれたそうです。

「これって、周りにどう説明すればいいんだろう」

「バレたら、どんな反応をされるんだろう」

とくに職場では、なるべく自然に、何事もないように振る舞おうと、毎日緊張しながら出勤していたと話してくれました。

◆ 親友に初めて打ち明けた日のこと

ある日、久しぶりに親友と会う約束があり、そのときに思い切って打ち明けたそうです。中学生の頃からの親友で、彼女なら分かってくれるかもしれない——そんな気持ちだったと。

「実はね、今ウィッグなんだ。抗がん剤の影響で髪が抜けちゃって…」

と勇気を出して言ったとき、親友は少し驚いた顔をしながら、こう返してくれたそうです。

「えっ、全然気づかなかったよ!すっごく自然。ていうか、それより体の方は大丈夫なの?」

その瞬間、胸の奥にあった不安がすーっと溶けていくような感覚だったと、彼女は話してくれました。自分の「見た目」じゃなく、「体調」や「気持ち」を心配してくれた。その気遣いが何より嬉しかったと、目を潤ませながら語っていただけたのが印象的でした。

人との関わりの中で、ウィッグのことを「話すかどうか」は、とても個人的で繊細なテーマです。

でも、ほんの少し勇気を出して誰かに打ち明けたことで、心がふっと軽くなる瞬間がある——そういう経験をされている方が、実際にたくさんいます。

無理をする必要はありません。伝えたいと思えるタイミングが来たときに、信頼できる誰かに、少しだけ心の内を話してみる。

その一歩が、あなた自身の安心や、これからの毎日をやさしく支えてくれるかもしれません。

ウィッグを選んだあなたが、少しでも自然に、心地よく過ごせるように。

この場所から、そっと応援しています。

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