7. 治療中にウィッグを使う時に気をつけること


医療ウィッグは、治療中の心の支えにもなる大切なアイテムですが、使用にはいくつかの注意点があります。頭皮の状態やお手入れ方法を正しく理解し、無理のない範囲で取り入れていきましょう。

■ 肌への負担を最優先に考えましょう

抗がん剤や放射線治療の影響で、頭皮が非常に敏感になることがあります。

具体的には、以下のような症状が起こる方も少なくありません:

• 乾燥によるかゆみやフケ

• 赤みや湿疹、皮膚のただれ

• ピリピリとしたヒリつきや痛み

• 頭皮全体の炎症反応

このような症状がある場合、無理にウィッグを着け続けるのは避けるべきです。

ウィッグが擦れることで症状が悪化したり、細菌感染などのリスクも高まる可能性があります。

★症状が出たらどうする?

• まずは使用を一時中止し、頭皮を休ませる

• 主治医や看護師に必ず相談し、皮膚科的な対処が必要かどうかを確認する

• ウィッグを使用しない期間は、医療用帽子で代用するのが安心

• 通気性が良く、肌への刺激が少ない帽子を選ぶ

★ウィッグ再開のタイミングは?

頭皮の症状が落ち着いてきたら、肌の状態を見ながら少しずつ再開するのが理想です。

その際も、「インナーキャップ(下地キャップ)」を活用することで、ウィッグと頭皮の間にクッションをつくり、直接的な刺激をやわらげることができます。

■ なぜ「インナーキャップ(下地キャップ)」が必要なの?

医療用ウィッグは、抗がん剤治療などで頭皮がデリケートになっている方でも使えるよう、肌当たりのやさしい素材や構造で作られています。

しかし、それでも直接ウィッグを頭皮に装着するのはおすすめできません。

まるで 下着なしで、洋服を着るようなものです。

理由①:汗や皮脂でウィッグがすぐに汚れてしまう

地毛のときは毎日シャンプーできますが、ウィッグは本来、毎日洗うものではありません。

頭皮から出る汗・皮脂がウィッグの内側に直接触れると、臭いや汚れが溜まりやすくなり、劣化の原因になります。

理由②:頻繁な洗浄はウィッグを傷める

ウィッグはとても繊細に作られており、洗いすぎることで毛がパサついたり、絡まり・抜け毛が起こる原因になります。

毛先が乾燥してチリついてしまうと、見た目にも不自然になり、修復が難しくなってしまいます。

また、地毛と違ってウィッグは新しく毛が生えてくることはありません。

地毛であれば、多少ダメージがあっても、伸びた分をカットして整えることができますが、ウィッグは一度傷んでしまうと元に戻すことはできません。

そのため、ウィッグを長持ちさせるためには、できる限り洗う回数を減らし、やさしく扱うことが大切です。

理由③:インナーキャップがあれば、清潔を保ちやすい

インナーキャップを使用すれば、頭皮から出る汗や皮脂をキャップが吸収してくれるため、ウィッグ本体を汚しにくくできます。

キャップ自体は、毎日洗濯機で洗ってもOKな素材がほとんど。何枚か持っておけば、常に清潔な状態でウィッグを使用できます。

■ インナーキャップの選び方と入手方法

• 肌に直接触れるものなので、縫い目やタグが少なく、通気性の良い柔らかい素材がおすすめです。

• 縫製の丁寧な医療用キャップ専用品が市販されています。

• ネット通販では、肌触りのよいオーガニックコットン製や抗菌素材のものなど、種類が豊富です。

★ワンポイントアドバイス

ウィッグ購入時に、インナーキャップがセットでついてくるお店もあります。

初めての方は、店員さんに「どんなキャップが合うか」相談してみるのも安心です。

■ 医療ウィッグの寿命は? 〜使用頻度とケアで大きく変わります〜

医療用ウィッグには明確な「使用期限」はありませんが、使い方や頻度、お手入れの状態によって寿命は大きく左右されます。

以下のような例を参考に、ご自身のライフスタイルに合わせてイメージしてみてください。

 使用頻度による寿命の目安

• 毎日、通勤や外出で使用する場合:

 → 摩擦・汗・紫外線などの影響を受けやすく、早ければ半年〜1年程度で傷みが気になることもあります。

 特に仕事などで長時間着用する方は、傷みが進みやすいため、1〜2年で交換する方が多い傾向です。

• 週末やお出かけ用など、使用頻度が少ない場合:

 → 保管状態が良ければ、3年以上使い続けられるケースもあります。

 ただし、長期保管中もたまに状態を確認し、毛のもつれやホコリを落とすお手入れは必要です。

★長持ちさせるポイント

ウィッグの寿命を延ばすには、**「日々の丁寧なお手入れ」と「正しい取り扱い」**がカギです。

• 購入時に必ず確認しておきたいこと:

• 洗い方、乾かし方、ブラッシングの方法

• 保管方法(スタンドの有無・専用袋など)

• 使用していいスタイリング剤や避けるべき行為(例:アイロン・整髪料の種類)

• お手入れに自信がない方は、定期的にお店でメンテナンスを受けるという方法もあります。

• また、2つ目のウィッグを持ってローテーションで使うことで負担を分散し、寿命を延ばすこともできます。

■ ウィッグのお手入れ方法

【洗い方の基本】

• ゴシゴシ洗いNG/シャワー直接NG

• 洗面器にぬるま湯をため、専用シャンプーを使って優しく押し洗い

• 濯ぎもため濯ぎで丁寧に シャワーを直接かけて濯ぐのは、絡みの原因にもなるのでNGです。

• タオルで包み、軽く押さえるように水分を取る(絞ったりこすったりしない)

【乾かし方と整え方】

• 専用スタンドに乗せて自然乾燥

• ブラッシングは専用ブラシを使う(地毛用のブラシはネット部分を傷つける恐れあり)

※スタンドは、帽子用スタンドでも代用できます。ウィッグ購入時にサービスでついてくることもあります。

◎ 大切なのは「無理をしない」こと

「見た目のためにウィッグをつけなきゃ…」と無理をする必要はありません。

一番大切なのは、治療中の体と心を守ることです。

ウィッグの使用は、あくまで体調と肌の状態に合わせて調整し、つらいときには医療用帽子やスカーフなど、他の選択肢を取り入れることをおすすめします。

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